制作から35年経ったツイン・ピークス シーズン2 第22章 Slave and Masters を観なおしてみる

ジェームズ・ハーリーは,ジェフリー・マーシュ殺害の容疑者として追われる身となります.マルコム・スローンは戻ってきたジェームズを,エヴリン・マーシュが「殺人者に襲われた」と言って殺害して口を封じるというシナリオを描いていました.シーンは後になりますが,ドナ・ヘイワードが,エヴリン・マーシュにジェームズ・ハーリーを助けて欲しいと頼みに行きますが,取り合ってくれません.その後,ジェームズ・ハーリーが何故,自分を嵌めたのだとエヴリン・マーシュのところにやって来ます.そこに後ろからやって来たマルコム・スローン殴られて意識を失います.そして,逆上してエヴリン・マーシュのところにやって来たジェームズ・ハーリーを,エヴリン・マーシュが銃で撃つというシナリオを,マルコム・スローンが実行しようとしますが,エヴリン・マーシュが土壇場で激しく抵抗し,エヴリン・マーシュの銃によってマルコム・スローンは倒れます.その場には,ジェームズ・ハーリーを助けに来たドナ・ヘイワードも一緒でした.この一連のやり取りが何に繋がっていくのか,全く読めません.

 レオ・アベル・ジョンソンに襲われたロバート・ボビー・ブリッグスとシェリー・マッコリー・ジョンソンは,保安官事務所で事情聴取を受け,ロバート・ボビー・ブリッグスはずっと前からシェリー・マッコリー・ジョンソンと不倫関係にあること,製材所が焼けた夜,ハンク・ジェニングスがレオ・アベル・ジョンソンを撃ったことを話します.レオ・アベル・ジョンソンの行方が分からないので,ハリー・Sトルーマン24時間体制で自宅を警護するとシェリー・マッコリー・ジョンソンに約束します.ロバート・ボビー・ブリッグスは,自分が護るから大丈夫だと言いますが,スルーされます.イキがるロバート・ボビー・ブリッグスですが,ほとんど相手にされません.シェリー・マッコリー・ジョンソンの素振りも,ロバート・ボビー・ブリッグスを頼りにしているようには見えません.事務所を出ていくロバート・ボビー・ブリッグスの革ジャンの背中にある”T”という文字が,何か滑稽に感じます.レオ・アベル・ジョンソンの介護から解放されたシェリーは「ダブル・R・ダイナー」に復帰します.復帰に関してノーマ・ジェニングスは大歓迎です.

 ゴードン・コールの命を受けてツイン・ピークスに戻ってきたアルバート・ローゼンフィールドは,ウィンダム・アールがスプリングフィールドカンザスシティー,ノートン,ダラス,ジャクソンの警察とFBI支局に小包を送り届けてきたことを話します.この再会の時に,アルバート・ローゼンフィールドハリー・Sトルーマン再会を喜んで抱き合います.この二人にも友情が芽生えていることをここで確認できます.この二人の間には,最初は衝突がありましたが,仲良くなってなんだか嬉しいです.小包みは弾を装っていたものだったのですが,箱の中身はどれもキャロライン・パウエル・アールのウエディング衣装の一部でした.「このことからもウィンダムは君だけを狙っていることがわかる」とアルバート・ローゼンフィールドは警告します.また事務所で見つかった死体については,死後硬直が解けるのを待って指を動かし,チェスの駒を示させたのだろうとも言います.アルバート・ローゼンフィールドは,デイル・クーパーが停職中のため,FBI特別捜査官らしいダークスーツを着ていないことに対して,泥臭いけれども似合っていると言います.個人的には,ダークスーツの方がデイル・クーパーらしいと思うのですが,それは見慣れているからでしょうかまた,アルバート・ローゼンフィールドは,非常に優秀な法医学を専門とする捜査官だと感じます.

 ウィンダム・アールは,電流の流れる首輪を使って,凶暴なレオ・アベル・ジョンソンをいともかんたんに服従させます.この手法は,吠え癖のある犬にとる方法と同じで,孫悟空が言うことをきかない時に,頭を締め付ける輪っかと同じです.しかも,電流は相当強力なようです.このシーンの最初で,ウインダム・アールは尺八を吹いていますが,音と全然合っておらず,そこが面白かったです.また,日本の侍は武器を取り上げられた時に尺八を武器にしたようなことを言っていますが,そんな話は聞いたことがありません

 エド・ハーリーとノーマ・ジェニングスはベッドのなかでこれからのことを話します.エド・ハーリーは帰ってきたネイディーン・ハーリーにそのままの姿を見せますが,ハンク・ジェニングスを叩きのめしたことをノーマ・ジェニングスに謝り,レスリングの大会で,反則技の飛行機投げをやってしまったために2位になったことを残念そうに話して出ていきましたまた,エド・ハーリーとノーマ・ジェニングスの関係は知っていたと言います.でも,自分は,マイク・ネルソンのことがあるし,私は,クールだから気にしないで良いと言います.ノーマ・ジェニングスとマイク・ネルソンとの恋も実れば良いのにと応援したくなります.レスリング大会の順位は2だったようですが,飛行機投げで相手を投げ飛ばしているので,実質No.1 であることになります.

 シアトルで殺害されたジョナサン・クマガイとの関係についてジョスリン・ジョシー・パッカードに話を聞きにきたハリー・Sトルーマンは,クリーニング店から大量の衣服を抱えて戻ってきたピート・マーテルを手伝い,ジョスリン・ジョシー・パッカードのものと思われるコートから素早く繊維を採取します.この辺りは,停職中とはいえ流石FBI特別捜査官です.その繊維の分析をアルバート・ローゼンフィールドに頼んだ結果,それはグレート・ノーザン・ホテルでデイル・クーパーが撃たれた時に,部屋の外に落ちていた繊維と一致しました.またジョナサン・クマガイの後頭部に打ち込まれた銃弾も,おそらく一致するだろうとアルバートは言いました.ジョスリン・ジョシー・パッカードも,実は凄腕の殺し屋なのでしょうか.ジョナサン・クマガイを殺したのは,香港の犯罪グループから抜け出したかったからなのかなと思いますが,デイル・クーパーを撃った理由は何故なのでしょう.

 事務所で発見された被害者は,エリック・パウエル(クレイグ・マクラクラン)という名前で,住所不定の元船員でした.この死体が移った時に,メガネをかけたデイル・クーパーかなとか,デイル・クーパーに似ているなと思った人も多いのではないかと思いますが(私はそう思いました),これは,この死体を演じていた(?)のは,デイル・クーパーを演じるカイル・マクラクランの弟のクレイグ・マクラクランだからです.

 パウエルはキャロライン・パウエル・アールの旧姓なので,それだけのために犠牲になったのだとデイル・クーパーは言います.この辺の犠牲者の選定の感じがサイコ・キラーっぽい気がします.「これからもウィンダム・アールがチェスの駒をとるたびに誰かが犠牲になるだろうが,僕はチェスでは彼に適わない」と言うデイル・クーパーに,ハリー・Sトルーマンは,ピート・マーテルに鍛えてもらってはどうかと提案します.彼はツイン・ピークスきってのチェスの名人だったのです.

 ローレンス・ジャコビーの診療によって「ベンジャミン・ベン・ホーンの南北戦争」の登場人物は,模型から人になり,オードリー・ホーンやジェレミー・ジェリー・ホーンも当時の扮装で参加しています.自身の兄や父親を現実世界に引き戻すためとはいえ,一族で「ベンジャミン・ベン・ホーンの南北戦争」に参加する二人は,とても滑稽です.このメチャクチャな感じ面白すぎです.ジェレミー・ジェリー・ホーンは,このまま自分が色々なビジネスを取り仕切れば,自身に入ってくるお金も多くなりそうなので,ベンジャミン・ベン・ホーンがこのままの状態でいる方が都合が良いと考え,このまま放置しようとしますが,オードリー・ホーンは「遺書を調べたら,パパが死んでも叔父さんには何も残らないのよ.すべてを受け継ぐのは娘の私だから,私のいうことを聞いておいた方が良いわよ.私はもう財産を引き継げる歳だし」と言い含めて引き続き協力させます.オードリー・ホーンは,交渉も上手でリーダー気質だと思います.また,ハンク・ジェニングスもそうでしたがジェレミー・ジェリー・ホーンも誰かが居なくなればそこに座れるというような椅子取りゲームのような感覚で,自分がのし上がろうという考えを持っています.ハンク・ジェニングスの時には,裏稼業の世界はドライだと書きましたが,裏稼業の世界に限らず,どの世界もそんなものなのかもしれませんジェレミー・ジェリー・ホーンは,あっさりとオードリー・ホールの忠告を受け入れ「兄貴の危機だ」と言います.

 トーマス・エッカートは,ジョスリン・ジョシー・パッカードの居所をつきとめて,キャサリン・マーテルのもとを訪ねてきます.ジョスリン・ジョシー・パッカードは,香港へ連れて帰るというトーマス・エッカートに,彼女を自身のメイドとしているキャサリン・マーテルは「替わりに何をいただけるのかしら?」と言います.

 一族の支えの甲斐あって「ベンジャミン・ベン・ホーンの南北戦争」は終戦を迎え,「ベンジャミン・ベン・ホーンの南北戦争で南軍を勝利に導いた満足感からか,夢から覚めたように現実の世界に戻ってきます.ロバート・ボビー・ブリッグスはオードリー・ホーンにちょっかいを出しながらラッパを吹きますが,全くもってまともにラッパは吹けません.それにしても,コスプレをしての演技は学芸会のようで最高です.ツインピークスは,シリアスなシーン以外は全体的に学芸会っぽい雰囲気の演出をしているように感じるのは私だけでしょうか.

 ウィンダム・アールは,電流の流れる首輪を使いながら,ドナ・ヘイワード,シェリー・マッコリー・ジョンソン,オードリー・ホーンへの手紙を書かせます.この3人のうち,クイーンは誰かなと言いながら,レオ・アベル・ジョンソンに封をさせます.そして,その手紙を変装したウィンダム・アールがグレート・ノーザン・ホテルに届けに行きます.
 デイル・クーパーが部屋に戻ると,ベッドには仮面が置いてあり,その下にはテープ・レコーダーが仕掛けてあり,ウィンダム・アールの声が再生されます.「キャロライン・パウエル・アールは実に美しく,息を飲むようだった.こんなに時が経っても,ピッツバーグであんなことがあっても,私はまだ愛している.そして,おまえもそうだと知っている.デイル・クーパー.おまえの指し手はなんだ!?」変装したウィンダム・アールが,手紙を届けに行く前にセットして行ったのでしょう.

脚本:ハーリー・ペイトン,ロバート・エンゲルス,監督:ダイアン・キートン,放送日(アメリカ):19912 9