攻殻機動隊 マニア考 -THE GHOST IN THE SHELL, 09 BYE BYE CLAY-

草薙素子が冒頭で雨は無の音が義体をすり抜けてゴーストを包んでいるようで嫌だと言っている.これは,義体化しているから感じる感覚なのだろうか.きっと雨が義体に当たる感覚はあるはずなので,無感覚だからそのように感じるということは無いように思える.何故,そのように感じるのかは書かれていないのでわからない.
雨の中でメガテクボディ社から逃走したロボットを捜索しているバトーはカッパを着て,頭にベトナムのノンラーのような帽子を被っている.バトーの後ろを歩く人も同じような帽子を被っているので,これは近未来では一般的なものであるという設定なのだろうか.
そこに,全裸の女性型のロボットが道に飛び出し,トラックかバスのような大型車とぶつかり,手と足を損傷する.そのロボットを捕獲して調べると,ロボットの電脳にはゴースト障壁が存在しているという.草薙素子はその障壁が,ゴーストダビングを行なった際に生じる擬似ゴースト障壁に似ていなくもなかったと言っている.ロボットがゴーストを持っているというのはあり得ないはずなのに,本当にゴーストが宿っているのだろうか.
そこに,外務省の中村審議官が現れる.中村審議官はロボットの中身を回収に来たと言う.中村審議官に同行して現れたドクターウィリスという男(アメリカのニュートロン社,戦略研究部長)は,電脳直結化をしておらず,20本弱の指で木ボードに入力を始める.電脳直結していれば,自分とロボットをケーブルで優先接続すれば良いだけなのだろうが,自分の子供と同じ世代の電脳医師に脳をいじられたくないという理由で電脳直結を行なっていないらしい.しかし,それでは通用しないので,20本弱の指で(恐らく,超高速に)キーボード入力をするらしい.
そこで,中村審議官はロボットの正体を人形使いだと明かす.人形使いはにも出てきた正体不明の凄腕ハッカーである.中村審議官の所属する条約審議部は別名公安6課と呼ばれている.公安6課は人形使いを追い続け,傾向や行動パターンを追い続けて来たらしい.その中で,対人形使い用の特殊攻勢防壁を創り,人形使いがどこかの機密ボディの中に入る(ダビングする)ように仕向け,入った段階で本体を暗殺した.中村審議官が説明を終えた頃に,ロボットが喋り始める.ロボットに入ったのは,6課の攻勢防壁に逆らえなかったためであるが,公安9課にいるのは自分の意思だという.また,生命体として政治的亡命を希望するという.人形使いが,自己保存のプログラムに過ぎないにも関わらず,情報の海(すなわちインターネット)で発生した生命体だと主張し,さらに,人形使いが生命体でないことを証明することは不可能だと告げる.その理由は現代科学では生命というものを定義できていないからという根拠を挙げる.その時,恐らく光学迷彩を纏った6課の関係者が突入し,人形使いを奪う.中村審議官は,一体ここの警備はどうなっているのかなどと言っているが,これは6課の自作自演のようなものなのだろう.また,この時突入した光学迷彩を纏った者の存在に,先に部屋を出て行った草薙素子とバトーは気づいていた.そこで,草薙素子光学迷彩を纏って部屋に戻り,突入があった際に荒巻部長の背中を押して助けた(この事に中村部長は気づいていた).そして,人形使いを奪って逃走した6課をバトーは追跡する.6課は人形使いをチェロのケースに格納して逃走しているらしい.9課は人形使いを乗せて逃走する車を抑えるが,その際に6課の人間は人形使いを爆破して破壊しようとする.損傷した人形使い草薙素子がダイブする.
ダイブして直ぐに,デカくて安定した記臆野の気配がすると言うと同時にピリピリすると言っている.これは,これはゴーストラインに達したと言う意味なのだろう.ゴーストライン(多分)を突破した草薙素子人形使いに私達が見えるかと問いかける.その後,草薙素子はゲートが開いて私を誘っていると言う.これは罠かもしれないので,バトーに身代わり防壁のセッティングを指示して,人形使いを自身の言語機能野に侵入させる(これをサポートするのは難しいことらしい).すると,プロジェクト2501が人形使いのコードネームだということがわかる.そのプロジェクトは企業探査,情報収集,および工作などで,ポイントを高めることを目的としていたようだ.特定のゴーストにプログラムを注入することで,企業や個人のポイントを増加させることを実行していたようだ.ここでいうポイントとはどのようなものなのかは明らかにされていないが,何かの評価値であることは間違いないが,例えば株価のように金銭的な価値のようなものなのかどうかはわからない.
ここで,人形使いは私はあらゆるネットを巡り「自分の存在」を知ったと言っている.ネットと言うとインターネットを思い浮かべるが,ここでのネットは,インターネットのみを指しているわけではない.ストーリーの舞台には当然インターネットも存在しているとは思われるが,世の中の大半のものがリンクしている.例えば,電脳化された人の脳同士もロンクでき,脳とロボットもリンクできるように.よって,ネットというのは接続可能なものでリンクした世界のようなものをイメージすれば良いだろうか.
そして,人形使いが「自分の存在」を知ったことを入力者はバグとみなし,分離するために人形使いをネットに移したと言っている.そのボディが話の冒頭で全裸で道に飛び出した全裸の女性型ロボットだったというわけだ.また,ここで人形使いが言った入力者とは外務省のことだ.
草薙素子は,そのことを証明するための記録を探す.それらの記録はニュートロン社の中央記憶野に隠されており,人形使いとのアクセスが滞るとその情報は自動的に9課に送信されることとなっているという.記憶にはポイントを増加させた企業や個人の記録が含まれている.
この時点で,人形使いのアウトプットが減少しすぎて,ホワイトアウトしてネット(接続と読み替えたほうがわかりやすいかもしれない)が切れていく.ここで,バトーはあまり深く潜ると記憶やネット自体が融合すると警告している.この後に義体ネットや記憶ネットまで消え始めたと人形使いが言っていることから,ネットは全ての接続を指しているのではないかと思われる.生身の人間の神経回路もネットに含まれると思われる.

 


その間の士郎宗方氏のコメントには,一般に個人という概念はその人の脳ではなく体全体を対象としている,ゴーストとは総体的肉体システムの状態であって,脳という容器に入っているエネルギーの塊ではないとある.すなわち,ゴーストとは脳のどこかに存在するものではないのである.草薙素子を例にとれば,彼女の本来の肉体は脳だけだが,脳があるからゴーストを持っているのではなく,脳と義体の全てが彼女のゴーストを形成しているということになるのだと思う.人形使いは,あらゆるネットを巡り,「自分の存在を知った」と言っている.これが,人形使いが語った,自分は情報の海で発生した生命体だという根拠なのだと思われる.草薙素子は,人形使いにそのことを証明できる記録が必要だという.その記録はアメリカのニュートロン社の中央記憶野に保存されており,人形使いからの接触が滞ると自動的に9課に送信されるようにプログラムされているらしい.草薙素子はダイブしながら様々な情報を送ってくるが,それらは今の私にはよく理解できない.この事については,別の機会に記していきたいと思う.
人形使いは最初は外務省が作成したプログラムだったが電脳データで企業データやゲームなどに融合していくうちに,自分は生命体だと言い出したために,慌てて回収に走ったらしい事は明らかとなった.