攻殻機動隊 マニア考 -THE GHOST IN THE SHELL, 07 PHANTOM FUND-

冒頭で草薙素子フチコマが,1課の戦車にアクセスした際に,何かとても大切な事が判ったような...と言っている.この接続は草薙素子によって切断される.このことは後のストーリには影響を及ぼさないが,フチコマ(ロボット)の苦悩を表現しているのかもしれない.また,フチコマは,天然オイルの使用を要求するが,草薙素子に即時に却下される.草薙素子によると,天然オイルを使用すると,アリ,カビ,凍結などで支障が出るとのことだ.何故,フチコマは天然オイルを要求したのかはわからないが,AIは学習によって,天然モノが良いという人間的な発想を真似たという事なのかもしれない.また,バトー専用のフチコマには天然オイルが入れられている.バトーは自分の乗るフチコマを決めていて,メンテナンスを行っている様子が-04 MEGATECH MACHINE 1-に描かれている.この時もバトーは変わった香りのオイルを入れて経験値を高めてやると言っているが,それらの効果については特に書かれていない.なお,この天然オイルに関しては,後のストーリーでオイルが粘る,糸のブレーキオイルが凍る(バトーはヒーターを入れていたようだが)などとトラブルの原因となっている.

択捉島に到着した際に,イシカワは光学迷彩を使用したフチコマでコンテナの上に着地する.その後に草薙素子は糸をはって有線しろ,今後一切の無線通信はするなと指示を出しているが,この糸をはるというのがどのような状態を指すのかがわからなかった.有線でダイレクト接続しろということなのだろうか.

択捉の雑踏を草薙素子フチコマが歩いている際に,草薙素子フチコマに絶対にはぐれるなという指示を出しているが,フチコマは露店で売られている(盗品らしい)の攻撃型装甲外骨格やまとんI号の記憶箱に惹かれてしまい,その品物とマニュピレーターを交換してくれなどと言って店員に怒鳴られ,涙を流しながら(涙はレンズ洗浄用の溶液らしい)記憶箱を盗んでしまう.フチコマは愛らしいキャラクターとして描かれているのはわかるが,これはロボット(AI)が自身の意思を持ち出している事の現れであると取ることもできる.草薙素子からの命令を受け,自分の仕事は理解しているはずなのに,誘惑に勝てずに自分の任務を忘れたような行動をしてしまうというのは,非常に人間的であると思った.記憶箱を盗んで逃走したフチコマは,草薙素子との糸が切れていると言っている.ここでも糸が出てくるが,それがどのようなモノを指しているのかはわからない.また,その時に新米の矢野が殺され,そのことについて部長に文句を言っている事を草薙素子が知っている.バトーが部長に文句を言おうとして,応答しろと言ったときに,イシカワが止せと言っているのが無線での通信をやめろと言っているのか,文句を言うのをやめろと言っているのかがわからないので何とも言えないが,前者であれば,草薙素子が無線を聞いたと言うことになる.また,後者であれば,無線通信を行っていないことになり,バトーが部長に噛み付いた事を草薙素子がどのようにして知ったのかがわからなかった.また,先にも書いたように,バトーのフチコマが降下していく際に,天然オイルが原因で,糸のブレーキオイルが凍るというトラブルが生じる.ここで言う糸は,フチコマのお尻から出ている,降下の際にぶら下がる糸だと思われる.ということは,糸は実在するケーブルのことを指すのではないかという結論に至った.

雑踏の中で草薙素子は背中に斧を刺されるが,何の支障もないようだ.背中に斧を刺して車で走り去った犯人はあっさりと射殺されてしまう.草薙素子のボディは相当硬固なものを使用しているという設定なのだろう.

草薙素子写真屋という設定でスイスイと佐川電子の中に入って行くが,これはクロルデンが佐川電子の警備主任の脳に直結し,情報の書き換えを行ったからである.クロウデンは草薙素子を40年来佐川電気に出入りしている上沢写真館の跡取り娘だという設定に書き換えたのだろう.凄腕のハッカーにかかると,このようなことがすぐにできてしまうということのようだ.警備主任は書き換えられた情報を自分の記憶だと信じて,草薙素子を見るたびに上沢写真館の跡取り娘だと思うのだろう.

佐川電子内に侵入した草薙素子は警備ロボットに身分証と許可証を提示するようにと言われた際に,反射的に拳銃を抜いてしまう.フリーパスを用意していたので,それを提示すれば良かった訳だが,その際に草薙素子は左手で拳銃を扱っている.表紙では右手で構えている.当然,どちらの手でも取り扱えるように訓練していると思われるが,ここで,義体化した際に利き手はどうなるのだろうかと思った.利き手を使うというのは脳から指令が出ていることは間違いないと思われるが,一方で,利き手でない方の手で何かをした際に上手くできないなど,身体的な感覚でもある気がする.以前の投稿(02 SUPER SPARTAN)でも書いたが,草薙素子には,義体化している義手が痛むといった身体的な感触が残っていることが書かれていることから,利き手の感覚が残っているものと推察する.

侵入後,ロボットを射殺した後に端末にアクセスした際に,キン,ビュンという音と共に草薙素子に向かってくる光のようなものが描かれている.攻性防壁は,このようなイメージで攻撃してくるようだ.

加賀崎二佐と戦っている際に,草薙素子光学迷彩を使用するが,その時に加賀崎二佐は身体が消える(見えなくなる)と同時に床の感圧反応まで消えていくと言っている.光学迷彩を使用して見えなくなったとしても,本体はその場にいるので,感圧反応は消えないはずだと思われるが,これは一体どのような仕組みになっているのだろうか.

最後のコマで,草薙素子は択捉の雑踏の中でとはぐれてしまったフチコマに文句を言っている.普通に考えると,任務中に何処かへ行ってしまったということで,叱られているというように解釈できるが,絵の具雰囲気はそうではない.フチコマも「へへっ」などと言って悪びれる様子もない(そもそも,AIに悪いことをしたとか迷惑をかけたという概念を持たせることができるのだろか).これは人間とロボットの関係ならではなのだろうか.

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