攻殻機動隊 マニア考 -THE GHOST IN THE SHELL, 02 SUPER SPARTAN-

SUPER SPARTANは超剛勇な人といった意味であろうか.このSUPER SPARTANは草薙素子を指しているのだろうか,それとも荒巻部長を指しているのだろうか.

冒頭で草薙素子とチームメンバー(まだ攻殻機動隊という名前は出てきていない)が花見をしているところに部長から「草薙素子が要求した予算を通したから仕事をしろ」と指令が入る.01 PROLOGUEで通信していたのはこのチームメンバーだと推測される.また,草薙素子は正式な特殊部隊設立を内務大臣(草薙素子はボスと呼んでいる)に申請するには,荒巻部長の協力も必要だと考えているようで,何らかの交渉を行っているようだ(このことは,ストーリーが進んだところで部長が「いつまでも突っ張っとらんで公安部に来んか」と草薙素子に問いかけていることからもわかる).荒巻部長は,彼らを専属としたいと考えているとバトーが言っているが,メンバーは公安に協力することや,傘下に入ることには抵抗を持っている.このような意見の相違は,テクノロジーが進歩しても日常的に生ずる設定のようだ.人間である以上,自由でいたいという気持ちを持ち続けるのは当然だということだろう.

草薙素子フチコマに予算通過を確認させた上で(恐らくネット経由),移動を開始するが,その時に「イシカワは暖気しときゃ良かったな」とフチコマに話しかけている.最近では,車でもあまり暖気は必要ないとされているが,フチコマはパワーもあり,激しい動きをする機械である以上,暖気している方が調子が良いという設定なのだろうと思う.フチコマのスペックや詳細な機能はこの時点ではわからない.
フチコマで移動しながら,メンバーは草薙素子の脳に侵入(Brain Diving)して情報を受け取る.無線だと盗聴される(枝がつく)と言っているが,草薙素子は盗聴防止(枝払いと言うらしい)のために攻性防壁を使っていると言っている.ここで,士郎宗方氏は注釈でハッカーについて説明をしている.今ではハッカーは一般的に浸透した用語だと思われるが,1991年当時はそれほどではなかったと推定される.恐らく,ハッカー=コンピューターを使ってシステムに侵入して悪いことをする人といった認識程度などではないか.

士郎宗方氏は,ここで攻殻機動隊を通して出てくるゴーストについて「霊魂とでも言うべきか」と言う説明を加えている.草薙素子がチリチリする辺りがゴーストの境界だと言っているのは,脳侵入した際にゴースト(霊魂)にまで侵入しようとすると攻性防壁(侵入しようとする相手を攻撃するファイヤーウォールのようなものか)が作用するということなのだろう.また,ゴーストに侵入できるハッカーの罪は重いというコメントから,ゴーストにまで侵入するには高度な技術が必要であることが伺える.侵入している者には「チリチリ」と言う感覚があるようで,それがどのようなものなのかはわからない.脳侵入すると,映像もしくは画像と共に色々な情報が得られるようだ.メンバーは義手が痛むとか,苦味の記憶を鎮痛剤を飲んだのかなどと,様々な情報を取得していることがわかる.義手が痛むといった症例は脳科学の分野でも実際にも報告されているようで(例えば 脳のなかの幽霊 (角川文庫) ),所々にリサーチの跡が伺える.
草薙素子は,余計な情報まで取得しだしたメンバーに脳から出ていかないと脳細胞を焼くと脅している.どのようにして侵入している者に攻撃を加えるのかは不明だが,脳侵入の際には,侵入している方にもリスクがあると言うことがわかる.
また,情報はゴースト近くまで潜らなくても取得できるにも関わらず,メンバーは全員攻性防壁が作用する直前くらいまで潜って必要以上の情報を取得したようで,人は秘密を探るという行為に熱心になりがちなことを表しているようだ.

潜入した警備員にもの忘れ(スリープ)させるために,首のジャックにプラグを差し込むシーンがあるが,そのようなリスクのある箇所を開けっ放しにしておくということには違和感を覚えた.一方で,現在のスマートフォンの充電ジャック(コンピュータの各種ジャックにも)にカバーをつけていない人が大半なことを思い出した.スマートフォンの電源ジャックを使ってのハッキングは可能だと思われる.そんな所に誰かがプラグを差し込まれたら,いくら何でもわかると言う感覚があって保護しないのか,そんな事をしてハッキングをする人はいないだろうという感覚なのかもしれないが,アクセスされる危険性が高い箇所をむき出しにしていることは間違いなく,人はリスクがあるとわかっているにも関わらず,手当てをしないでいても平気でいられるのかもしれないと思った.これは何もコンピュータに関連することに限定したことではない.

草薙素子が「そうしろとささやくのよ 私のゴーストが」と言った後には電脳戦が繰り広げられる.この時,通信を攻性防壁モードに切かえると言っているが,恐らくこのモードは通信を傍受できないようにして,傍受を試みた相手には攻撃を仕掛けることができるモードであると推定する.敵も攻性防壁に切り替えられたとみられ,AIを搭載したオペレーターの腦は焼き切られてしまう.脳を焼き切られて血を吐いたオペレータはロボットだったようだ.草薙素子がオペレーターのことをただのスピーカーで,公安部が修理すると言った後に,バトーが模擬人格を注入してか?と言っている.ここで,ロボットには模擬人格が注入(プログラミング)される事が明らかとなったが,模擬人格というのはどれくらいの種類があるのだろうかと気になった.恐らく,通り一遍等でロボットの全ての模擬人格が同じにはしないだろうが,かと言って,その種類は無限にあるわけではないと思われる.また,バトーはゴーストがないお人形(ロボット)は悲しいねとも言っている.オペレーターが吐いた血は恐らく赤色(絵は白黒なのでわからない...)だが,士郎宗方氏のコメントを読んで,エイリアンに出てきたアンドロイド(人間型ロボット)であったビショップの血液が白かったことを思い出した.また,敵のコメントによるとゴーストを焼く時には抵抗感があると言っている.抵抗感というのがどのような感覚なのかはわからない(先述の「チリチリ」するという感覚か).

攻防の中で,敵が侵入鍵を使って攻性防壁よりも速くゴーストに侵入してきたことになっている.現在行われているコンピュータへの侵入というものがどういうものなのかはわからないが,恐らくそのような攻防の中では,プログラムを走らせ合い,そのスピードの違いによって侵入できるかどうか,もしくは侵入を防げたかどうかが決まると思われる.攻殻機動隊の中では,そのようなことを体内に組み込んだ機器によって手足を操るように感覚的に行うことができるようになっている設定なのだと推測される.また,草薙素子フチコマに敵が使用したゴースト侵入鍵をコピーして逆流させ,その鍵にアクセスした時点で攻撃(「攻性防壁を突っ込む」と言っている)を行えという指示を出している.このようなことはフチコマのように外部のAIでないと出来ないのか,それともAIにサポートさせながら他の攻撃に移ろうとしているのかは不明である.草薙素子が指示した攻撃によって,敵は身代わり装置(Active Protect)を焼き切られる.この身代わり装置を付けていない場合は,ゴーストが焼き切られることになるのだと思う.

この後,草薙素子は京レの全天候型熱光学迷彩服(隠れ蓑)を使用して,敵を逮捕する(罪名は電脳倫理侵害現行犯).この京レというのが,東レの東洋を京都,もしくは東京の京に変えたものなのか,京セラと東レのミックスなのか,それとも他の理由によるネーミングなのかは不明である.

草薙素子とメンバーは,本話をキッカケに公安部長が設立する首相直轄の「攻殻機動隊」の専属となる.荒巻部長は公安所属の攻殻機動隊を結成ために,色々な策略を張り巡らせており,ある意味攻殻機動隊は部長のストーリーにのせられたと考えることもできる.

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