TeX Live 2018では,数々の新機能追加・仕様変更が行われており,macOS 標準添付のヒラギノフォント(商用フォント)などに関する設定ファイル群が,TeX Live から TLContrib に移動になったとのことです.
この移動によって,TeX Live / MacTeX を普通にインストールするだけでは,ヒラギノフォントが使えず,TLContrib を使う設定を各自が追加で行う必要が生じたとのことで,その設定を行った際のメモです.
以下のメモは,Xcode Command Line Toolsがインストールされている前提です.
1. TeX Live レポジトリの内容を最新版に更新するため,ターミナルから
を実行します(管理者ユーザ権限で実行).この実行にあたっては,パスワードを要求されます.
2. TLContrib をレポジトリとして登録して,macOS/ヒラギノ関連のパッケージをダウンロードします.
以下の一連のコマンドを続けて実行します.
3. macOS に標準で用意されているヒラギノフォントを TeX で使用するため,次の一連のコマンドを続けて実行します.
この操作によって,/usr/local/texlive/texmf-local/fonts/ 内にOS付属フォントへのシンボリックリンクが作られます.
4. ヒラギノフォントを埋め込んだPDFを作成するために,次のコマンドを実行します.
このコマンドは,macOS のバージョンによって異なります.
macOS 10.13 High Sierra の場合
macOS 10.12 Sierra / OS X 10.11 El Capitan の場合
$ sudo kanji-config-updmap-sys --jis2004 hiragino-elcapitan-pron
OS X 10.10 Yosemite の場合
$ sudo kanji-config-updmap-sys --jis2004 hiragino-pron
以上で,(u)pLaTeX + dvipdfmx で,ヒラギノフォントを埋め込んだ和文PDFを作成できるようになります.
続いて,TeXShopの日本語環境設定を行います.
まずは,TeXShopのアップデート確認を行い,新しいバージョンがある場合は,そちらをインストールします.
TeXShop > 環境設定を開きます.
左下の設定プロファイルボタンをクリックします.
Unicodeを活用できる upLaTeX を使用する場合は upTeX (ptex2pdf) を,従来の pLaTeX を使用する場合は pTeX (ptex2pdf) というプロファイルを選択します.
また,フォントは初期状態では Helvetica - 12 になっていますが,和文等幅フォントを使用したい場合は Osaka - 等幅 に変更しておくと見やすいでしょう。
上記の設定を終えて,TeXShopを終了させた後に,ターミナルから以下のコマンドを順次実行します.
* 補足1
** 補足2
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* 補足1
10.7 Lionなどの古いOSにおいて存在した,行番号がスクロールしないOS側のバグに対処するための対症療法を停止させる措置です.最近の macOS ではこのバグが修正されていますので,この対症療法は不要となっているそうです.この対症療法が残っていると,スクロール速度が遅くなる原因となるそうなので,OFFにしておきます.
** 補足2
スクロール時に上下端で大きく跳ね返るバウンスエフェクトを停止させる措置です.OS X 10.10 Yosemite 以降では,このバウンスがかなり大げさになっているので,このエフェクトをOFFにします.
*** 補足3
OS X 10.10 Yosemite 以降において,プレビューウィンドウのPDFがぼやけて見えてしまう(一部の環境で発生するらしい)のを防止する措置です.